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「こんなところに来てまでお勉強かい?何の表を作ってるんだい?」
水の入ったバケツをわきに、端末に向かっている幾沙にモモコが話しかけた。
「どれくらいの水温で人化するのか実験してるから、その結果。」
「水で人化……」
「そうよ。水かぶると強制的にパンダから人型になるから、データ収集してるの。課題だから。」
モモコは少し首をかしげた後、何か思い当たったらしく、頷いた。
「そういえばひょろっこい男になったけ。」
「うん…あ、そうだ。お百姐さん、水温とか、何か知らない?」
今度はモモコが首をふる。
「アタシは知らないねぇ……」
「そっか…。やっぱ地道に努力しないとダメね。」
なにやら改めて気合を入れなおしている。
***
「旦那、水で人化するそうじゃない。いつからそんな条件ついたんだい?」
俺は吸っていた煙草を取り落としそうになる。
「なんだよ、急に!あぶねーな!」
「何、そんなに動揺してんだい。」
「動揺なんてしてねぇよ!昔からだよ。」
「『会社』にいた頃、そんな話は聞いたことなかったヨ。」
「か、隠してただけだ。」
「へぇ、そうかい。」
モモコが煙管を銜える。
「旦那、アタシ思った事があるんだよ。」
「……なんだよ。」
モモコが言わんとしている事が、何となく予想できた。
「旦那、ひょっとしてさ……」
ドバシャー!
「……ずる~い。」
相変わらず乏しい表情の中に若干の悔しさが見える幾沙。
「アタシを見捨てるたぁ酷いネェ……。」
大分濡れてしまった着物の袖を絞るモモコ。
「……奇襲する奴らにズルとか酷いとか言われたくない。」
ビニ傘を広げてバケツの水を防いだ俺は、当然無事である。
「やれやれ、失敗だったネェ…」
「お百姐さん、濡れちゃったね…ごめんなさい。」
「お嬢ちゃんのセイじゃないよ。」
モモコが俺の脛を煙管で叩く。
「いてッ!八つ当たりすんなッ!」
「ホント、旦那は協調性がないんだから。」
「ドライヤー貸してあげるってゆってるのに。すぐ乾くって。」
「そういう問題じゃねぇー!!!」
にゃもとユ・アの興味津々の視線を感じる。
楽しい水遊びだと思わなければいいんだが…。
超 絶 不 安 だ
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赤いパンチング・グローブがトレードマーク。
「パンダといえば中国四千年」思想に辟易しており、フ★イフェイとかファンフ☆ンとか、人気パンダ風のあだ名に抵抗がある。
ちょい悪オヤジ系のダンディズムを追及中。
プロフィール詳細はリンクから…