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「ねぇ、今日は水遊びするのにいい天気だと思うの。」
唐突な幾沙の発言に、飲んでいたコーヒーを噴きそうになった。
水遊びをするとの言葉どおり、水の入ったバケツと水鉄砲を持った幾沙である。
その後ろには、同じくバケツを持ったナエもいる。
「おい…その手には乗らないぞ。」
「その手って何?天気が良いから遊ぼうって言ってるだけ。」
すっとぼけた事を言う。
「水遊びには、まだ早い。まだ風が冷たい。」
「そんなことはないですにゃー。風もさわやかですにゃー。」
白くてふさふさした尻尾を揺らしながら、いつの間にかにゃん太郎が傍にいる。
その手には水鉄砲…と言うか、水マシンガン?
「今はそうかもしれんが、遺跡の天気は変わりやすいから…」
無邪気な目で俺を見上げるにゃん太郎から逃れようと後退すると、ふいに辺りが日陰にはいる。
「ほらな、急に曇ってきただろ?」
「あ、ユ・アちゃん、水汲んで来てくれたのね。ありがとう。」
幾沙が俺の背後ににっこりと微笑む。
そろりと後ろを振り返れば、なみなみと水の入ったバケツの取っ手を銜えたユ・ア。
「クキュウ♪」
うわ、鼻息が荒い。やる気満々だ。
「準備整ったし…じゃあ、水遊びしましょ?」
幾沙は珍しく子供らしい笑顔を見せる。
だが、目が笑っていない。アレは獲物を狩る鷹の目。
前門の幾沙とにゃも。
後門のユ・ア。
完 全 包 囲
俺は深々と溜息をつく。
「……わかった。」
途端ににゃん太郎の目が輝く。
「アンタ達だけで遊びなさいっ!じゃっ!」
言い捨ててくるりと背を向けたところへ、幾沙の言葉。
「でも、危険だから、大人がいないところで水遊びはしちゃいけないってお百姐さんが…」
「ソレは火遊びだろー!!」
思わず足を止めて、つっこんでしまう。
ぴゅぴゅー!
……水鉄砲から発射された水が後頭部を直撃。
「わーい、あたったにゃー!」
「やったね!」
「キュー♪クックルクー♪」
「……俺を本気にさせたな。」
応戦の意思見せた俺の『ある姿』を見て、幾沙が急に顔を曇らす。
「そんなのズルい!」
「うっさい!おまえら、皆、容赦なく水浸しにしてやッからなー!!!」
ナエの持っていたバケツを奪うと、俺は反撃に入った――。
――30分後。
「……アンタ達、何があったんだい?」
呆れ顔のモモコが見たものは……。
随分濡れて軽く凹んでいるにゃもと、
ずぶ濡れになった為にスカートを絞る幾沙と、
濡れた体をぶるぶる振るって水滴を飛ばすユ・アと、
その姿を満足げに見つめながら煙草をふかすレインコート姿のパンダであった。
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赤いパンチング・グローブがトレードマーク。
「パンダといえば中国四千年」思想に辟易しており、フ★イフェイとかファンフ☆ンとか、人気パンダ風のあだ名に抵抗がある。
ちょい悪オヤジ系のダンディズムを追及中。
プロフィール詳細はリンクから…