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偽島で、とあるパンダの歩いた道。
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今日は幾沙が俺をチラ見する回数が多い。


気になる。
特に、チラ見の仕方が気になる。
普段はなるべく視線を合わせないようにして、俺がよそ見すると俺を凝視している。
非常に気になる。
……が。
多感な時期の少女の考えなど、荒くれ者の俺にはわかるはずもない。
気がすむまでやってればいいさ――俺は小さく肩をすくめる。


「よし…んじゃ、ここいらで休憩すっか…」
小川のほとりに腰を下ろし煙草に火をつける。
幾沙も俺の隣に腰を下ろす。
穏やかな流れに大きな俺と小さな幾沙がゆらゆらと映る。
そんな川面をぼんやりと眺めていた…………眺め…て……?!

「……ぬぁんじゃこらぁぁぁ!!」

思わず煙草を取り落とす。
川面に映る俺の自慢のフェイスには、油性ペン(ごんぶと)で『眉毛』と『髭』のいたずら書き。

+斜+や、やられた…!流石はあの陰険野郎の血をひく娘…侮れん…!!-斜-

「ちょ…いっちゃん、コレ、もしかしなくても油性?!」
無言でうなづく幾沙。
「油性は落すの結構辛い!俺の毛が痛む!」
「……私の予想だと…」
相変わらずの無表情で小首をかしげた。
「人化する時には、そーゆうの消えるんじゃないかなぁ…って。」
青い瞳がきらりと光った。
「やってみる?」

……?!
…………!!!
……コ、コイツ、何か狙ってやがる!
俺が最弱の時に、何かしようと狙ってやがる!!
恐ろしい子…!!


結局、俺はドラム缶に湯を沸かして風呂に入ることにした。
ノンビリ湯船に浸かりながら、煙草をふかす。
お湯じゃ俺は人化しない。
鼻歌混じりで幾沙の方をみると、何だか残念そうな顔で、じっとこっちを見ていた。

もうチラ見はしないらしい。

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パンダのこと
HN:
パンダ
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性別:
非公開
自己紹介:
ヘビースモーカーなパンダ系獣人族。
赤いパンチング・グローブがトレードマーク。

「パンダといえば中国四千年」思想に辟易しており、フ★イフェイとかファンフ☆ンとか、人気パンダ風のあだ名に抵抗がある。
ちょい悪オヤジ系のダンディズムを追及中。

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