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――雨が降ってきた。
褐色の肌の華奢な少女が慌てて扉を開いて入って来る。
それもそのはず。
幾何学模様の刺青に刻まれた左腕には、大事な手紙の束を抱えているのだから。
少女は床に座ると手紙を床に並べて、確認する。
それは14通。
濡れてはいない。
少女は安心の溜息をつく。
文字が滲んでしまったら悲しい。
これから、紙が擦り切れるくらい、読むのだから。
いつしか、毎日、手紙を書くことが暗黙の了解になった。
一日も欠かさず、出来事を伝えることが日課となった。
離れ離れの自分達が手紙を通して繋がっている。
自分も彼の世界に関わってる気がする。
それだけで、少女はあたたかい気持ちになれた。
一人きりの家も、寂しくはない。
だから、彼女は今日も書く。
『お兄ちゃん、お元気ですか?』
「なぁ、いっちゃん。アンタもっと効率よく大人になりたいと思わねぇか?」
幾沙が不振な表情で俺を見上げた。
「俺の観察日記で外れるリミッターなんて、たかが知れてるだろ?」
昨日の戦闘中に幾沙がほんの30秒ほど成人化した。
胡散臭い野郎が置いて行った指輪で、一時的に魔力が解放されたのだろう。
早く成人化したい彼女がそれで満足しているとは思えない。
「それよりも、スゲェことすればいい。」
「……例えば?」
今日はにゃん太郎から回ってきたバトンとやらに応えようかね。
そういや、いっちゃんからもモモコ宛に回ってきたな…。
青天の霹靂 【せいてんのへきれき】
〔補説〕 陸游「九月四日鶏未鳴起作」より。晴れた日に突然起きる雷の意
突然の大事件。人を驚かす変動。 [ 大辞林より ]
「ねぇ、今日は水遊びするのにいい天気だと思うの。」
唐突な幾沙の発言に、飲んでいたコーヒーを噴きそうになった。
水遊びをするとの言葉どおり、水の入ったバケツと水鉄砲を持った幾沙である。
その後ろには、同じくバケツを持ったナエもいる。
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赤いパンチング・グローブがトレードマーク。
「パンダといえば中国四千年」思想に辟易しており、フ★イフェイとかファンフ☆ンとか、人気パンダ風のあだ名に抵抗がある。
ちょい悪オヤジ系のダンディズムを追及中。
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